マンスリー・レビュー・シリーズの、2月の金利スワップのボリュームを見てみよう。
まずはハイライトから
- SEFを経由した(オンSEFの)USD(ドル)の金利スワップの2月のボリュームは1.3兆ドル以上となった
- DV01は前月に比べて11%上昇した
- バタフライやカーブト・レードも増加
- オンSEFのドル・ベースのコンプレッションは2,200億ドル以上と顕著な伸びとなった
- ドル・ベースのスワップ・レートは15bpの低下基調で、フラットニングしている
- SEF間のシェアは、Tradewebがコンプレッションで拡大した
- またTraditionもCME‐LCHのスイッチ・トレードでシェアを拡大した
- CME-LCHベーシス・スプレッドは顕著に縮小した(30年スワップで1.5bp)
- グローバル・ベースでみると、G4通貨のクリアリング取引のボリュームは大きくなった
- LCHスワップ・クリアーでクリアーされたとトレードは前月比22%増加した
- LCHは豪ドル建てのOISのローンチに成功した。2月のボリュームは同通貨の金利スワップより大きくなった
チャートを使って詳しく見ていこう
オンSEFのドル金利スワップ
SDRViewを使って、まずはオンSEFのドル金利スワップ(アウトライト、トレジャリーとのスプレッド・ベース、カーブ、バタフライ)の想定元本をグロスベースで見ることから始めよう。
- 2016年2月のグロスの想定元本はUSD1兆2800億
- (キャップ・トレード・ルールによって、ブロック・トレードが一部開示されないため、トータルのボリュームは過小評価されている点には注意が必要)
- 前月と比較すると若干(6%)増加している
- 昨年の2月と比較すると今年が閏年であるという事情はあるが、7%の増加となっている。
- 下図はトレード・タイプでDV01(カーブとバタフライは調整後)を示したものだ
- DV01で見ると2月は1月より11%高くなっている
- DV01で見ると、6億3000万ドル分がトレードされたことになる
- (キャップ・トレード・ルールの問題はここでも同様)
- バタフライとカーブの2月のDV01は最高だ
- また、アウトライトとスプレッド取引も2015年1月に次ぐ大きさだ
コンプレッションとロール取引のグロスの想定元本は下図のとおりだ
- 月は2200億ドルと、コンプレッションのアクティブな月だった。
- これは前月や昨年の2月をはるかにしのぐボリュームとなっている
- 驚くことに、IMM月以外のロール取引のボリュームが大きい
- これらの多くはテナー10年のスワップで、おそらくCMEの新たな商品である、Ultra10Y UST Futureの影響だろう
オフSEFのドル金利スワップ
オン/オフSEFの比較
昨年2月のオフSEFは47%であったが、オン/オフSEFの比率は概ね60対40になっている。
ドル金利スワップのプライス
今月にドル金利スワップに何が起こったのかを見てみよう
- スワップ・レートは1月から継続して低下基調である
- それほど大きな下落ではないが、平均的な月よりは大きい
- 手前は変動なくフラットニングしている。中期は15bp、長期は20bpの下落だ
- このため2月は変動証拠金に係るマージンコールが多くなっただろう
ユーロ、ポンド、円金利スワップ
3通貨のオンSEFのボリュームを見てみると、
日本における当月のボリュームは他の月に比べて相当大きくなっている。前月にスワップ金利がマイナスになったことが関係しているかもしれない。一方で、1月のこの3通貨のグロスの想定元本総額は1560億ドルと、ドル金利スワップの13%でしかない。
次にSEFのコンプレッション動向を見てみよう
ユーロとポンドスワップについては、2016年1月、2月のレベルは前年同月に比べて非常に大きくなった
SEFのマーケットシェア
今度はSEFViewに目を転じて、バニラ、ベーシス、OISスワップについて、SEFのマーケットシェアを見てみよう。
ドル、ユーロ、ポンドについて、SEF毎のDV01(百万ドル単位)をみることから始めよう。SEFのコンプレッション取引を含め、今月と他の月の相対的なシェアを比較するために下図を使うことにする。これを見ると、
- Bloombergが最大のシェアを保持している
- 今月はトレードウェブもがBloombergに肉薄している
- SEFでのコンプレッションの動きが記録的となったが、この関係で、
- ICAPやIGDL、BGCとDealerweb、TrueExは以前に比べてシェアを伸ばし、
- Traditionは前月比のシェアを大きく伸ばした
- 一方でTulletは前月に比べて若干シェアを落とした
何がTraditionのシェアを大きく伸ばしたのかを考えてみると、CME-LCHスイッチ・トレードが思い浮かぶ
CME-LCHベーシス・スプレッドとボリューム
SEFViewを使うことで、主要なD2DのSEFにおけるトレードの中から、CMEでクリアーされたスワップのみを抽出することができる。そしてこれらをCME-LCHスイッチ・トレードと仮定する。
過去3ヵ月についてみてみよう。
- 今月のグロスのボリュームは580億ドル
- これは11月を除く全ての月より大きい
- TraditionはICAPからシェアを奪いかえしている
- またこれが当月のTraditionの全てのシェア増加を説明している
CME-LCHベーシス・スプレッドはどうだろう
顕著にスプレッドが縮小している
2月29日のTraditionのクオートを見てみよう
・テナー5年が前月の1.5bpから0.95bpにダウンした
・10年は2.65bpから1.65bpにダウン
・30年は3.95bpから2.6bpにダウン
30年の1.5bpのダウンは大きい
CME-LCHスイッチ・トレードのボリュームが昨年の11月から高いレベルのままであることは確かだ。
グローバル・ベースのクリアー取引のボリューム
ここではCCPViewを使って、クリアーされたユーロ、ポンド、円、ドル金利スワップのボ スワップのボリュームをグローバル・ベースで見てみよう。
- 月のクリアー取引のボリュームは大きく増加した
- LCHスワップ・クリアーは22%増だ
- これは我々が知る限り最高のボリュームだ
- CMEも前月からボリュームを増加させている
- JSCCも以前と比べて大きくボリュームを増やした
バニラのドル金利スワップについて、LCHクライアント・クリアリングとCMEOTCを比較すると、2月は1月同様69対31の割合となった。
最後に、豪ドル、香港ドル、シンガポールドルスワップ(バニラ・OIS・ベーシス・ゼロクーポン)について見ておこう
- LCHスワップ・クリアー前月比で75%増となっている
- ASXの2月の数字はまだ開示されていない
- CMEよSGXはチャートに出ているが、
- HKEXは観測できない
LCHスワップ・クリアーと豪ドルにフォーカスすると、
月のLCHスワップ・クリアーによるAONIAのローンチは大成功と言え、2月には同商品の過去最高のボリュームを記録した。これは金利スワップを超えるボリュームとなった。
今日はここまでです。
たくさんの図を出しましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
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